こんにちは。「店舗活性化委員会(ミセカツ)」です!
2026年11月1日から、外国人旅行者等を対象とする免税制度は「リファンド方式」へ移行します。現在は購入時に消費税を免除する「即時免税方式」ですが、制度改正後は、店頭で税込価格を支払い、出国時の税関確認後に消費税相当額を返金する仕組みに変わります。
制度開始に向けて、次のような疑問や不安を感じている店舗のご担当者も多いのではないでしょうか。
- 税込価格から、返金の基準となる消費税相当額を求める方法が分かりにくい
- 10%と8%の商品が混在する会計で、税率ごとの計算や端数処理に迷う
- お客様から返金額を聞かれたとき、その場で正確に案内できるか不安
- 返品や一部返品が発生した際、購入記録情報をどう修正すべきか分からない
この記事では、現在の即時免税方式における免税金額の計算方法を確認したうえで、2026年11月から始まるリファンド方式の計算例や、店舗が準備しておきたい実務上のポイントを分かりやすく解説します。
この記事でわかること
- 税込価格から消費税相当額を求める計算方法
- 10%と8%の商品が混在する場合の計算方法
- 2026年11月からのリファンド方式の仕組み
- 返品や端数処理など、店舗実務で注意したいポイント
※制度に関する記載は、2026年9月7日時点で公表されている国税庁の情報に基づいています。最新情報は「輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し」をご確認ください。
免税金額の計算方法
まずは、税込価格に含まれる消費税相当額の基本的な計算方法を確認しましょう。
免税金額とは
一般に「免税金額」と呼ばれているものは、免税対象となる商品の販売に含まれる消費税相当額を指します。
現行制度では、所定の免税販売手続きを行うことで、購入者は販売時に消費税を負担せずに商品を購入します。
一方、2026年11月1日以降のリファンド方式では、店舗が税込価格で販売し、購入者が出国時に税関の確認を受けた後、店舗または返金手続きの委託先が消費税相当額を返金します。ただし、返金手数料を購入者が負担する場合、実際の受取額は消費税相当額を下回ることがあります。
税込価格から消費税相当額を求めるときは、税率をそのまま掛けるのではなく、税込価格から税額を逆算する割戻し計算を行います。
税込価格から求める税率別の計算式
| 税率 | 計算式 | 計算例 |
|---|---|---|
| 標準税率10% | 税込価格 × 10 ÷ 110 | 11,000円 × 10 ÷ 110 = 1,000円 |
| 軽減税率8% | 税込価格 × 8 ÷ 108 | 5,400円 × 8 ÷ 108 = 400円 |
例えば、標準税率10%の商品を税込11,000円で販売した場合、税込価格に含まれる消費税相当額は1,000円です。
計算時のポイント
「11,000円の10%=1,100円」ではありません。税込価格にはすでに消費税が含まれているため、「10÷110」で割り戻します。
10%と8%の商品が混在する場合
食品などの軽減税率8%の商品と、衣料品や化粧品などの標準税率10%の商品を同時に販売する場合は、税率ごとに分けて計算します。
例えば、次の商品を同時に販売した場合を見てみましょう。
- 標準税率10%の商品:税込22,000円
- 軽減税率8%の商品:税込10,800円
| 区分 | 計算 | 消費税相当額 |
|---|---|---|
| 標準税率10% | 22,000円 × 10 ÷ 110 | 2,000円 |
| 軽減税率8% | 10,800円 × 8 ÷ 108 | 800円 |
| 合計 | 2,000円 + 800円 | 2,800円 |
税率の異なる商品をまとめて一律に計算すると、消費税相当額を正しく算出できません。
POSレジを利用している場合も、商品マスタに登録された税率が誤っていれば正しい計算はできません。制度開始前に、商品ごとの税率設定を確認しておきましょう。
免税対象となる購入金額
2026年11月1日以降も、免税販売の対象となるのは、同一の免税購入対象者が同一の輸出物品販売場で同じ日に購入した商品の税抜合計額が5,000円以上となる場合です。
新制度では、現行制度にある一般物品と消耗品の区分が廃止されます。消耗品の購入上限額や特殊包装も廃止され、対象物品の区分は一本化されます。
ただし、購入者は購入した免税対象物品を出国時にすべて所持し、税関の求めに応じて提示できる状態にしておかなければなりません。同じ購入記録情報に含まれる商品のうち、一つでも出国時に所持していない場合、その購入記録情報に含まれるすべての商品について税関の確認を受けられず、返金の対象になりません。
2026年11月からのリファンド方式で変わること
「店頭で免税価格にすればよい」と認識していると、新制度開始後に会計や案内で混乱する可能性があります。
リファンド方式では、販売時点では課税取引として税込価格を受け取り、税関確認情報の取得・保存後に免税が成立します。
現行制度との違い
| 項目 | 現行制度 2026年10月31日まで |
リファンド方式 2026年11月1日から |
|---|---|---|
| 販売時の支払い | 免税価格 | 税込価格 |
| 免税の成立 | 販売時の免税手続き | 店舗が税関確認情報を取得・保存した後 |
| 店舗の対応 | 購入記録情報を送信 | 購入記録情報の送信、税関確認情報の取得・保存、返金 |
| 一般物品・消耗品 | 区分あり | 区分を廃止 |
| 消耗品の特殊包装 | 必要 | 廃止 |
販売から返金までの流れ
- 免税購入対象者を確認する
パスポートなどを確認し、購入者が免税購入対象者に該当するかを確認します。 - 税込価格で販売する
消費税を含む代金を受け取り、販売時点では課税売上として処理します。 - 購入記録情報を送信する
旅券情報や商品、数量、販売価額などを国税庁の免税販売管理システムへ送信します。 - 購入者が出国時に税関の確認を受ける
購入日から90日以内の出国時に、免税対象物品を国外へ持ち出すことについて確認を受けます。 - 店舗が税関確認情報を取得・保存する
税関の確認結果と購入記録情報を照合します。 - 消費税相当額を返金する
基本的には、税関確認情報に基づき、店舗または委託先が購入者へ返金します。 - 課税売上から免税売上へ振り替える
税関確認情報を保存した取引について、会計上必要な振替処理を行います。
返金方法は、銀行振込、クレジットカードへの送金、アプリ送金、出国港での現金返金などが考えられます。具体的な返金方法は消費税法令で一律に定められていないため、店舗または利用するサービスに合わせて決める必要があります。
また、返金手続きを委託する場合に生じる手数料を、購入者と店舗のどちらが負担するかについても一律の定めはありません。購入者が手数料を負担する場合、実際の受取額は算出した消費税相当額より少なくなります。
販売・返金・売上処理の具体例
標準税率10%の商品を税込33,000円で販売した場合を例に整理します。
| タイミング | 金額・処理 |
|---|---|
| 販売時 | 購入者から税込33,000円を受け取り、課税売上として処理 |
| 消費税相当額 | 33,000円 × 10 ÷ 110 = 3,000円 |
| 税関確認後 | 返金の基準となる消費税相当額は3,000円。購入者が返金手数料を負担する場合、実際の受取額は3,000円を下回ります。 |
| 売上処理 | 税関確認情報を保存した後、税抜30,000円を免税売上として処理 |
販売した課税期間と税関確認情報を保存した課税期間が異なる場合は、処理方法が変わることがあります。具体的な会計・税務処理については、税理士などの専門家へ確認してください。
店舗実務で注意したいポイント
税率と商品マスタを確認する
免税システムが自動計算に対応していても、商品マスタの税率が誤っていれば、返金の基準となる消費税相当額も正しく計算できません。
特に、食品・飲料などの軽減税率商品と、一般の商品を扱う店舗では、次の点を確認しましょう。
- 商品ごとに10%・8%が正しく登録されているか
- セット商品に異なる税率の商品が含まれていないか
- 新商品や価格変更時に税率設定が漏れていないか
- POSレジと免税システムで税率情報が一致しているか
値引きと端数処理のルールを決める
値引きを行った場合は、値引き後の販売価額を基準に消費税相当額を計算します。複数の商品を対象に一括値引きを行った場合は、値引き額を各商品へ適切に配分する必要があります。
また、計算の過程で1円未満の端数が生じる場合があります。国税庁のQ&Aでは、購入記録情報における1円未満の端数は適宜の方法で処理して差し支えないとされています。ただし、「合計額」などと個々の免税対象物品の「販売価額」の合計に、100円を超える差額が生じないようにする必要があります。
店舗ごとに四捨五入・切り捨てなどの処理方法がばらつかないよう、利用するPOSレジや免税システムの仕様を確認し、社内ルールを統一しておきましょう。
返品時は購入記録情報も確認する
免税手続き後に返品が発生した場合、レジ上の返金だけでなく、国税庁へ送信した購入記録情報の処理も必要になる場合があります。
- 税関確認情報が提供される前:当初の購入記録情報の取消データを送信する
- 一部返品の場合:当初の購入記録情報を取り消し、訂正後の購入記録情報を改めて送信する
- 税関確認情報が提供された後:購入記録情報と税関確認情報のステータスが確定しているため、購入記録情報の取消しは不要
返品を受け付ける前に、購入記録情報の送信状況と税関確認結果を確認できる運用を整えておくと安心です。
購入者への案内を統一する
リファンド方式では、購入者から次のような質問を受けることが想定されます。
- なぜ店頭で税込価格を支払うのか
- いつ、どの方法で返金されるのか
- 出国時に何をすればよいのか
- 商品を日本国内で使用してもよいのか
説明が担当者によって異なると、会計時のトラブルや、出国時に税関確認を受けられない原因になります。
「購入日から90日以内の出国時に、手荷物を預ける前に税関確認を受けること」「免税手続きをした商品をすべて所持し、税関の求めに応じて提示できるようにしておくこと」「確認後に返金されること」「手数料によって実際の受取額が異なる場合があること」を、案内資料やマニュアルにまとめておきましょう。
免税システムで計算と記録を効率化
税率の判定や消費税相当額の計算、旅券情報の登録、購入記録情報の作成を手作業で行うと、免税件数が増えるほどスタッフの負担も大きくなります。
特に混雑時は、「税率を間違えていないか」「パスポート情報を正しく入力できているか」「購入記録を送信したか」といった確認が重なり、通常会計まで滞ることがあります。
ビジコムの免税システム「eあっと免税」は、2026年11月からのリファンド方式に対応しています。
POSレジ「BCPOS」と連携すれば、会計データを利用して免税手続きを進められるため、商品や金額を改めて入力する手間を軽減できます。Windows版アプリを利用し、免税手続きのみを単独で運用することも可能です。
現在のPOSレジを活用したい店舗、免税件数が少ない店舗、専用の免税カウンターを設けたい店舗など、運用に合わせて構成を選べます。
よくある質問
- Q. 免税金額はどのように計算しますか?
- A. 税込価格に含まれる消費税相当額を割戻し計算で求めます。標準税率10%の場合は「税込価格 × 10 ÷ 110」、軽減税率8%の場合は「税込価格 × 8 ÷ 108」が基本です。
- Q. 2026年11月以降、税込11,000円の商品はいくら返金されますか?
- A. 標準税率10%で値引きなどがない場合、返金の基準となる消費税相当額は1,000円です。ただし、返金手数料を購入者が負担する場合、実際の受取額は1,000円を下回ります。返金時期・方法・手数料は、店舗または利用する返金サービスによって異なります。
- Q. 10%と8%の商品をまとめて計算できますか?
- A. 一律の税率でまとめて計算することはできません。標準税率10%の商品と軽減税率8%の商品を分け、それぞれの消費税相当額を計算して合算します。
- Q. 2026年11月以降も消耗品の特殊包装は必要ですか?
- A. リファンド方式では、一般物品と消耗品の区分および消耗品の特殊包装が廃止されます。ただし、購入者は出国時に免税対象物品を所持し、税関の求めに応じて提示できるようにする必要があります。
- Q. 購入後、いつまでに出国する必要がありますか?
- A. 免税対象物品の購入日から90日以内の出国時に、税関の確認を受ける必要があります。
- Q. 返金方法は法令で決められていますか?
- A. 具体的な返金方法は、消費税法令で一律に定められていません。店舗が自ら行う方法のほか、承認送受信事業者などへ返金手続きを委託する方法があります。委託時に生じる手数料を購入者と店舗のどちらが負担するかについても、一律の定めはありません。
まとめ
免税販売における消費税相当額は、税込価格から税額を逆算して求めます。標準税率10%と軽減税率8%では計算式が異なるため、税率が混在する場合は分けて計算することが重要です。
2026年11月1日からのリファンド方式では、店舗が税込価格で販売し、購入者が購入日から90日以内の出国時に税関確認を受けた後、消費税相当額を返金します。購入者が返金手数料を負担する場合、実際の受取額は消費税相当額を下回ることがあります。
店舗では、金額の計算だけでなく、購入記録情報の送信、税関確認情報の取得・保存、返金、売上の振替までを一連の業務として整理する必要があります。
制度開始後に現場が混乱しないよう、商品マスタの税率、端数処理、返品、購入者への案内、返金方法を事前に確認しておきましょう。
この記事のまとめ
- ✓税込価格から消費税相当額を求めるときは割戻し計算を行う
- ✓10%と8%の商品が混在する場合は税率ごとに計算する
- ✓リファンド方式では税込販売後、税関確認情報に基づいて返金する
- ✓一般物品と消耗品の区分、消耗品の特殊包装は廃止される
- ✓POSレジと免税システムの連携で計算・入力・記録の負担を軽減できる
参考:
・国税庁「輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し」
・国税庁「輸出物品販売場制度に関するQ&A(リファンド方式)令和8年7月」






